
水色のこんぺいとう
ざーっ、ざーっと今夜も星がうるさい。
早く寝させてくれと、ごろりと寝返りを打つ。
本当に、今夜もうるさい夜になりそうだ。
いつの日からか、夜空を煌めく星々がよく泣くようになった。しくしくと、空がまた泣いている。
比喩でも何でもなく、こんぺいとうが空から落ちてくるようになった。異常気象だ、なんてテレビのニュースは騒いでいたが、俺にとってはそんなことはどうでもいいことだった。
土砂降りのなか、雨に溶けたこんぺいとうを一粒、手に取る。横断歩道の信号待ちの交差点を通り抜けていく車のヘッドライトが頬を照らす。
少し溶けかけた表面は、べとべとしていた。その日、拾ったこんぺいとうは黄色だった。
がりり、と、こんぺいとうを噛み砕いた晩がある。その夜、手に入れたのは水色のこんぺいとうで、駅から自宅までの帰り道の茂みにあった。表面はよく乾いていて、形もトゲがよく残っていて、比較的綺麗だった。ぼう、と淡く光って見えたのは俺の見間違いか、はたまた連日の疲れか。妙に目に付く水色のそやつを、家に持ち帰ることにしてみた。
口に放ったら、苦いわ、しょっぱいわ、で大変だった。じりじりと舌に残るえぐみ。こりゃまたひどいもんを口に入れてしまったと早々に後悔した。それと同時に、こんなものが空から降ってくるなんてな、とも思った。
ばらばらと傘を叩く雨の音は止まない。今夜もまた一荒れしそうだ。昨晩夜遅くに聞いたラジオは、台風の訪れを、途切れ途切れの電波の影から伝えていた。
雨の中、タクシーを待つ。今夜は弟に会おうと決めていた。年の離れた幼い弟は、無邪気な笑顔で俺を受け入れる。その手を、どうやって引こうか、と出会った当時の俺には分からなかった。ただ困惑して、伸ばされた小さく、ふっくらとした手に触れることが怖かった。
弟にはきっと、甘い飴をやろうとスーパーで買ってきてあった。大したことない、何の変哲もないカラフルなフルーツ飴。それを、からころとあの小さな口の中で回すのだろうと想像したら、頬が緩んだ気がした。